"HMS"ローズ ( HMSサプライズ)
"HMS"ローズ
映画でHMSサプライズを演じる"HMS"ローズは1757年に建造された王国海軍フリゲート艦HMSローズの復元艦である。
オリジナルのHMSローズは1757年に王国海軍6等級砲20門フリゲート艦として7年戦争の最中に建造された。そして、アメリカ独立戦争の前年1774年にロードアイランド植民地の密輸を取り締まるため、ロードアイランド植民地ナラガンセット湾に派遣され、ロードアイランド植民地の貿易を取り締まった。これに対し独立機運の高まるロードアイランド植民地議会では、「海軍」を設立し対抗することに決定した。これがのちの合衆国海軍に繋がる大陸海軍の始まりである。
その後、HMSローズはアメリカ独立戦争中の1779年、ジョージア州サヴァナ市にたてこもる英国軍を海から進入するフランス軍から守るためサヴァナ川に閉塞艦として自沈した。
そして、合衆国建国200年を記念して1970年に英国国立海事博物館に保存されているオリジナル線図を使用して復元建造されたのが"HMS"ローズである。
建造後10年間は、記念艦として公開されていたが、1985年より"HMS"ローズ財団のもとでセイル・トレーニング・シップとして活躍。映画のために20世紀フォックス社に買い取られ、HMSサプライズを演じるために大掛かりな改修を行い撮影に望んだ。現在は、サンディエゴ海事博物館で一般公開されている。
HMSサプライズ
映画のモデルとなったHMSサプライズであるが、1796年に地中海で捕獲された元フランスの艦尾甲板付コルベット艦である。この艦を有名にしたのは、乗組員が反乱を起こし南米スペイン領に逃げ込んだHMSハーマイアニを、1799年にプエルト・カベロで奪還した事件である。その後、1802年に売却された。従って映画の舞台である1805年には既に王国海軍には在籍していない。又、映画の中でマウアット2等海尉が、カラミー士官候補生にフォア・トップ・マストのキャップに刻まれたオーブリー艦長のイニシャルと1785年の文字を見せるシーンが有るが、それも不可能である。この辺は原作者であるパトリック・オブライアンも適当に無視をしているのでおいておこう。
HMS Rose | HMS Surprize | |
等級 | 6等級砲20門フリゲート艦 | 5等級砲34門フリゲート艦 |
クラス | シーフォード(Seaford)級 (船型は王室ヨットロイヤルカロライン(Royal Caroline)の線図による) | 元フランス艦L'Unite 1796年4月20日地中海でHMSインコンスタントにより捕獲 |
砲列甲板長 | 108フィート11.5インチ | 126フィート |
キール長 | 90フィート10.25インチ | 108フィート6.125インチ |
全幅 | 30フィート4インチ | 31フィート8インチ |
船倉深さ | 9フィート7インチ | 10フィート0.5インチ |
BMトン数 | 430トン | 578トン |
造船所 | Blades | Le Havre |
乗組員数 | 160名 | 200名 |
兵装 | 上層甲板:20門x9ポンド砲 | 当初の兵装 上層甲板:24門x9ポンド砲 艦尾甲板:8門x4ポンド砲、4門x12ポンドカロネード砲 艦首楼:2門x4ポンド砲、2門x12ポンドカロネード砲 後の兵装 上層甲板:24門x32ポンドカロネード砲 艦尾甲板:8門x18ポンドカロネード砲 艦首楼:2門x6ポンド砲 |
海軍本部発注日 | 1756年4月13日 | |
起工日 | 1756年5月6日 | |
進水日 | 1757年8月3日 | 1794年 |
備考 | アメリカ独立戦争中の1779年9月19日にフランス艦の進入を阻むためアメリカ、ジョージアのサバナ川で閉塞艦として自沈 | 1802年売却 |