Hornpipe
ホーンブロワー・シリーズ「パナマの死闘」に、HMSレナウンがボートで曳航されながらナティビダッドとの戦闘に突入シーンで、艦上で水兵がホーンパイプ(Hornpipe)を踊る場面がある。
ホーンブロワーは言った。「さあ、ベンスキン、ホール、マクイーボイ。各自ホーンパイプ踊りをやって一番うまかった者に、一ギニーだ」
後年、このことは語り草となり、リディア号が主甲板でホーンパイプ踊りをつづけながら、曳航されて戦闘に突入していった有様が、長く語りつがれた。 ~ 「パナマの死闘」p.214より
このホーンパイプ(Hornpipe)というのは、王国海軍の水兵に一般的な踊りだが、このような踊り。
こうしてみるとを見ると片手を腰に片手を高くあげるたり、両手を腰に当てたり、両腕を胸の前で組んで飛び跳ねるようにステップを踏むダンスである。 TV映画「ホーンブロワー2」でソーヤ艦長派の水兵のリーダーが踊っているのと、映画「マスター・アンド・コマンダー」でネイグルがキャプスタンの上で踊っていたのもそうかもしれない。艦上ではフィドルや、横笛の伴奏で踊られた。 元は古いケルトの楽器Hornpipeに合わせて踊る3分の一拍子のソロ・ダンスだったらしい。それが18世紀初頭に2分の一拍子に変化し王国海軍では一般的に踊られるようになった。
曲というかリズムのほうは、「Sailor's Hornpipe」という曲が代表的なもの。飛び跳ねる感じの調子の良いリズムである。こちらがその「Sailor's Hornpipe」とホーンパイプ・ダンス。
毎年恒例の英国プロムス・ラストナイト・コンサートの第二部でウッド作曲「イギリスの海の歌による幻想曲」が最後のほうで演奏されるが、その中にどんどんテンポが速くなっていく調子の良い曲がある、これが「Sailor's Hornpipe」。早い話が、古いアメリカのTVアニメ「ポパイ」のテーマソング(若い人は知らないかも)。ヘンデル「水上の音楽~第2組曲」(1717年)でも使われている、なんたって「アラ・ホーンパイプ」ってくらい。 元は古いケルトの音楽なので、現代のアイリッシュ・ミュージック&ダンスにもホーンパイプ(Hornpipe)はあるが、リズムは少し違うようである。
「Sailor's Hornpipe」の楽譜は見つからなかったが、「Nancy Dawson」というネルソンの時代の帆走軍艦でよく踊られたホーンパイプの曲の楽譜があったのでMIDIファイルにしてみた。飛び跳ねるリズムの雰囲気がわかれば幸いである。 Nancy Dawson←MIDIファイル、クリックで演奏