Lieutenantの由来
Lieutenant*1は最初からCaptainを補佐する士官という階級ですが、王国海軍の軍艦では数百人の乗組員を分隊(Division)に分け、将校(Lieutenant)が分隊長として率いました。これは英国陸軍と比較すれば、大隊を分割した中隊(本当は逆、中隊(Companyが集まり大隊)を率いる大尉(captain)に当てはめることができます。そこで大尉(Captain)と同格とされたのでしょう、なので海軍大尉(Lieutenant)となります。ただし、この辺は資料にも記載が殆ど無く推測です。
しかし、1804年にはスループ艦より小型のカッター艇などの艦長を海軍大尉(Lieutenant)が勤めた(Lieutenant in command)ときの補佐役として海軍中尉(Sub lieutenant)が一時的な階級として新設されていますので、海軍大尉(Lieutenant)で問題ないと考えます。このときの海軍中尉(Sub lieutenant)は任官済みの海軍大尉(Lieutenant)ではなく、将校任官試験(Examination for Lieutenant)を合格したものの、任命辞令を受けていない(つまり乗艦が無い)士官候補生、航海士などの一時的な階級です。これもナポレオン戦争が終わることにはほぼ階級として定着していました。
一階級しかなく、軍艦の上では先任順位に従って順位付けされていたので、先任海軍大尉、次席海軍大尉、三席海軍大尉ではさまにならないとはいえますので一等海尉、一席将校等の訳語はちょっと感心しますけど、階級としては実感のわかない訳語ではあります。
- 余談・・・Lieutenantの発音は、王国海軍では今も昔も「レフテナント」です。
Lieutenantは"Mister"何某と呼ばれますが、カッター等の指揮と執った(Lieutenant in command)ときも"Captain”何某と呼ばれることは無く、"Mister"何某と呼ばれるに過ぎませんでした。
参考:士官の階級比較