海軍金メダル(The Naval Gold Medal)
正しくはThe Naval Gold Medal。
1794年フランス革命戦争初の海戦「栄光の6月1日の海戦」の大勝利を受けて、参戦した王国海軍軍人に褒賞を与えるため、国王ジョージ三世は海軍金メダル(The Naval Gold Medal)創設の意向書にサインをしました。1794年から1840年までの間に戦功を挙げた、王国海軍の海軍提督、海軍大佐に授与されました。
2種類あり、海軍提督、海軍代将、艦隊艦長(captains of the fleet)には大メダルが、海軍大佐には小メダルが授与されました。大メダルは22個、小メダルは112個授与されたのみです。
授与されたのは勝利した6回の大きな海戦に参加した海軍提督、戦列艦艦長(参戦したフリゲート艦の艦長は対象外)と、勝利した4回の戦隊同士での海戦に参加した戦列艦艦長、艦対艦での勝利をあげ敵艦拿捕した限られた艦長となります。
6回の大きな海戦とは
- 栄光の6月1日の海戦(The Glorious First of June)1794年6月1日
- セント・ヴィンセント沖海戦(St. Vincent)1797年2月14日
- カンパーダウン海戦(Camperdown)1797年10月11日
- ナイル海戦(The Nile)1798年8月1日~8月2日
- トラファルガー海戦(Trafalgar)1805年10月21日
- サント・ドミンゴ海戦(Santo Domingo)1806年2月6日
になります。
大メダル
海軍提督用の大メダルは直径51ミリで、栄光の6月1日の海戦の時は金のチェーン、その後は幅44ミリの両端がダークブルー、真ん中が白色のリボンで首から吊るされました。
トラファルガー海戦の次席司令官だったCuthbert Collingwood (1750-1810)海軍中将に授与された大メダルです。リボンは失われています。
表は、左手に槍を持ち、背面に盾を置き古い形のガレー船に立つブリタニアのヘルメットにエンジェルが勝利の冠を掲げる図柄です。
裏には月桂樹とオークの葉に囲まれて
「CUTHBERT COLLINGWOOD ESQUIRE, VICE ADMIRAL AND SECOND IN COMMAND. ON THE 21 OCTOBER MDCCCV. THE COMBINED FLEETS OF FRANCE AND SPAIN DEFEATED」
と刻まれています。
小メダル
艦長用の小メダルは直径45ミリで、両端がダークブルー、真ん中が白色のリボンに金のバックルがついており、通常制服のボタンホールから吊るされました。
トラファルガー海戦で戦死したHMSベレロフォン艦長Captain John Cooke (1763-1805)に授与された小メダルです。
表の図柄は大メダルと一緒です。
裏には
「+ JOHN COOKE ESQUIRE + CAPTAIN OF H.M.S. BELLEROPHON ON THE 21 OCTOBER MDCCCV THE COMBINED FLEETS OF FRANCE AND SPAIN DEFEATE」
と刻まれています。
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