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Age of Sail
Age of Sail武器 / スモール・アーム / EdgedWeapons / 士官軍刀 / ロイズ愛国基金贈呈刀
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ロイズ愛国基金The Lloyd's Patriotic Fund) anchor.png

ロイズ愛国基金はロイズ・コーヒー・ハウス(ロイズ保険組合)のメンバーによって1803年7月28日に戦争による多くの戦傷者への福祉、戦死者の扶養家族への年金補助を行うための基金として発足しました。東インド会社とイングランド銀行が5,000ポンドずつ、City of Londonが2,500ポンド出資し、1804年3月には174,000ポンドの寄付を集めました。
また、勇敢な戦いをした軍人への報酬を与えました。それがロイズ愛国基金贈呈刀もしくは贈呈銀器、報奨金です。
ちなみに、このロイズ愛国基金は現在も慈善団体として活動を続けています。

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ロイズ愛国基金贈呈刀(The Lloyd's Patriotic Fund Presentation Sword) anchor.png

1803年から1812年までの間に勇敢な戦いをした英国の軍人への褒賞としての贈呈刀(Presentation Sword)です。
提督、海軍大佐には100ギニーの価値がある贈呈刀が、海軍大尉、海兵隊大尉には50ギニーの価値がある贈呈刀が、海軍士官候補生、航海士、海兵隊中尉には30ギニーの価値がある贈呈刀が贈呈されることとなっていました。
ホーンブロワー艦長、ラミジ艦長に贈呈された50ギニー、100ギニーの剣はこの贈呈刀のことです。ラミジ曰くこの贈呈刀を帯びて提督の前に立つことは「私は勇敢です」と言っているようなものだそうです。

贈呈刀は全てロンドン、ストランド街ランカスター・コートの宝石商Richard Teedによって製作(組立)され、鞘(Scabbard)の鯉口(Throat)には「Richard Teed, Dress sword maker to the Patriotic Fund, Lancaster Court, Strand」と刻まれています。
贈呈刀のデザインは、柄頭(Pomme)はライオンの頭、バックピース(Backpiece)はネメアのライオンの皮、グリップ(Grip)は格子模様の象牙、護拳(Knuckleguard)はヘラクレスの棍棒に巻き付く蛇、鍔(Quillon)はローマの執政官のシンボルであるファッショです。柄頭(Pomme)、バックピース(Backpiece)、護拳(Knuckleguard)、鍔(Quillon)は金メッキされています。 刀身(Blade)は1796年制式英国軽騎兵サーベルを模していて、全長30.5インチ、幅1.5インチで全て同じサイズです。

100ギニー贈呈刀 100guinea.jpg

青く染められた刀身に金メッキで模様が施され、青地の部分に受賞者への献辞が刻まれています。
ホーンブロワー艦長がナティビダッドを戦力で劣るHMSリディアで撃沈した功績で贈呈された100ギニーの剣がこれです。「燃える戦列艦」で質入れして40ギニーしか借りられなかった贈呈刀です
ラミジ艦長は「トラファルガー残照」でダイアモンド・ロックの戦いの功績により贈呈されています

50ギニー贈呈刀 50guniea.jpg

100ギニー贈呈刀に似ていますが、それほど華やかではなく金メッキの模様の部分が少ないです。これも青地の部分に受賞者への献辞が刻まれています。

30ギニー贈呈刀 30gunia.jpg

刀身が青く染められておらず金メッキで模様が施されているのみです。受賞者への献辞が刻まれています。

贈呈刀の違いは鞘の金メッキされた細工に表れています。

トラファルガー・ソード Repro-ID-E5500.jpg

英国の大勝利に終わったトラファルガー海戦の褒賞として100ギニーの価値があるトラファルガー・ソードが贈呈されています。
HMS Minotaurの艦長Charles John Moore Mansfieldに贈呈されたトラファルガー・ソードです

贈呈刀には専用の剣帯、青と金の刀緒が付属していて、ベルベットで内貼りした専用のマホガニー製のケースに入れて贈呈されました。ケースの表には、受賞者の名前と艦の名前が刻まれた真鍮のパネルが付いています。
Case100gunia.jpg
1810年10月16日HMS Spartanの艦長Jahleel Brentonに贈呈された100ギニー贈呈刀です


ちなみにこの贈呈刀は純粋に飾り剣で刃は付いていないので切れません。ですからホーンブロワー「決戦!バルト海」186頁で、ホーンブロワー戦隊司令官が「愛国基金から贈られた百ギニの金柄の剣で、かみそりのような刃がついているーそれでピストルを持つ手に斬りつけた」とありますが、著者C.S.フォレスターの創作、手傷を負わせることは不可能です。

 

実際に贈呈されたのは

  • 100ギニー贈呈刀・・・海軍提督、海軍大佐34振り、海軍大尉(Lieutenant in command)2振り、東インド会社戦隊司令官1振り、陸軍士官2振り
  • 50ギニー贈呈刀・・・海軍大尉63振り、東インド会社艦長15振り、海兵隊大尉15振り、航海長、陸軍士官3振り
  • 30ギニー贈呈刀・・・海軍士官候補生8振り、航海士4振り、海兵隊中尉4振り
  • トラファルガー・ソード・・・英国の大勝利に終わったトラファルガー海戦への褒賞として参戦し生き残った艦長(4名の海軍大尉含む)に29振りの100ギニーの価値があるトラファルガー・ソードが贈呈されています。

最初の贈呈は、1803年6月27日HMS Loireが Isle de Bas海岸砲台に守られたフランスのブリッグVenteuxを拿捕するためボートで斬り込みを行った戦闘で勇敢な戦いをした海軍大尉ジェームス・ボーエン、海軍大尉フランシス・テンプルに50ギニー贈呈刀、海軍士官候補生ジョン・プリーストに30ギニー贈呈刀が贈呈されたのが最初(授与は1803年8月27日)です。
最後の贈呈は50ギニー贈呈刀が1812年8月12日スペイン海岸Valmera沖の戦闘で負傷したHMS Minstralの海軍大尉マイケル・ドワイヤーに贈呈されたのが最後(授与は1813年3月18日)です。

 

記録によると165振り位贈呈されていますが、失われた物もあり、存在が確認されているのは133振り。半分程度は個人所有。残りは博物館の所蔵になっています。
実物は英国のロンドン郊外グリニッジにあるNational Maritime Museumポーツマス・ヒストリック・ドックヤードのSailing Navyギャラリー、王国海兵隊士官に贈呈されたものはイーストニーの王国海兵隊博物館で見ることが出来ます。
陸軍士官に贈呈された物はNational Army Museumに所蔵されていますが、現在閉館中で、WEBオンラインでしか見ることが出来ません。オンラインで画像を見ると陸軍士官に贈呈された物は、鞘の金メッキ以外の部分が赤色になっています。

 
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100ギニー贈呈刀細部 anchor.png

1805年4月23日HMS Acheronの艦長Arthur Farquharに贈呈された100ギニー贈呈刀です

100guneaup1.jpg

100guneaup2.jpg

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贈呈銀器(Lloyd's Patriotic Fund Vase) anchor.png

Repro-ID-D5513.jpg
HMS COLOSSUSの艦長James Nicoll Morrisにトラファルガー海戦の褒章としてトラファルガー・ソードと一緒に贈呈された贈呈銀器です。

 

ロイズ愛国基金贈呈刀についてはこちらの
Lloyd's Patriotic Sword
に詳しい記事があります。

 
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最終更新: 2015-08-16 (日) 05:27:03 (JST) (3369d) by 只野四十郎
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