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Age of Sail
Age of Sail乗組員 / 階級 / CaptainIsCaptain
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Captainの意味について

 Captainという語句は後期ラテン語で「一団の長」が原義ですが、そこから変化していろいろな意味に使われます。
王国海軍の木造帆装軍艦にも複数のCaptainが乗艦していました。

  • 職位(Post)としてのCaptain
  • 階級(Rank)としてのPost Captain
  • 海兵隊大尉はCaptain of Royal Marines
  • 各砲手長はGun Captain、下士官です
  • 各マストには、Captain of foretop、Captain of maintop、Captain of mizzntop、これも下士官
  • Heads captain(便所掃除当番)なんてのもあります

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職位(Post)としてのCaptain

 大砲が実用化され海上の戦いが艦船同士の大砲の打ち合いになるまで(16世紀中頃アルマダの戦い前後)、海上の戦いは陸上の戦いの延長でした。つまり、当時の海戦は艦船を横付けして斬りこんでの白兵戦だったということです。
 イングランドでは海上の戦いとなると、シンク・ポーツの艦船に、隊長(Captain)が率い、副官(Lieutenant*1)が補佐する戦士の一団(Company)が乗船。隊長(Captain)が艦船の指揮官(Commander)として全てを掌握し、艦船の船長(Master)を通じ、航海士(Master's mate)、水夫長(Boatswain)といった船員系の士官、水夫を動かすことにより艦船を航海させていました。
 この歴史が続くことにより、いつのころか軍艦の指揮官は艦長(Captain)と呼ばれるようになりこれが現在まで続いています。

 ちなみに、副官(Lieutenant)は艦長(Captain)とともに正士官(Commisioned officer)となり将校(Lieutenant)としてそのまま軍艦の士官となりました。船長(Master)以下船員系の士官は一段下の准士官となりました。ただし。航海長(Master)は、船長(Master)であったこともあり、准士官の中で最上位者となりました。

  • 余談・・・王国海軍では木造帆走軍艦の時代、Master and Commanderが指揮を執る小型艦(スループ艦)まで指揮官は艦長(Captain)と呼ばれていました。しかし、Lieutenantが指揮を執る(Lieutenant in command)カッターなどの場合、指揮官は"Mister"何某と呼ばれました。
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階級(Rank)としてのPost Captain

 イングランドで海軍が組織化されていく過程で、正士官の職位が階級化されます。このとき英国陸軍との関係上、数百人の乗組員を率いる大型艦の艦長(Captain)は、大隊を率いる大佐(Colonel)と同格とされたのでしょう。
 これは「士官の階級」にも書いたとおり海軍本部による規則書「REGULATIONS AND INSTRUCTIONS RELATING TO HIS MAJESTY'S AT SEA」の1748年追加規則に以下の記載が有ります。これは制服規則が出来た時のものですので、実際にはそれ以前から有ったと思うのが妥当ではないでしょうか。

Captain who have taken post three years, and by His Majesty's regulation rank as colonels
All other post captains, who by the said regulation rank as lieutenant colonels
職位3年を過ぎたCaptainは、国王陛下の規則における階級は大佐(colonel)である
その他全てのPost Captainは規則における階級は中佐(lieutenant colonel)である

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Post Captainとは

 ホーンブロワーの翻訳者高橋泰邦氏は各ホーンブロワー・シリーズでPost Captainについて色々書かれていますけど、私の解釈はぜんぜん違います。又、私の解釈はブライアン・ラブリー氏なども同じです。
 すなわち、「Captain is Captain」なのです。軍艦の艦長(Captain)を、Master and Commanderでもなく、将校が勤める(Lieutenant in command)のでもない、大佐(Captain)が勤めるからPost Captainなのです。
つまり職位(Post)、階級(Rank)共にCaptainだからこそPost Captainなのです
そして6等級艦以上はPost Captainが指揮を執るものと定められていたのでPost Shipとなるわけです。またPost Captainに昇進することを単にPostedとかbeing made postと呼びます。

 ホーンブロワーの翻訳者高橋泰邦氏は以下のように書かれています。又、至誠堂から出版されているシリーズでも訳語は違いますが、スタンスはほぼ同じです。

 Post-Captainの訳語も苦心した。日本には無かった概念とニュアンスがある。~中略~ これは単なる階級ではない。大型艦の艦長の意味だけでもない、国王から与えられる修正の身分である。原作の多くの文脈からこうしたことが読み取れた。ではどう言う訳語をあてたものだろうか。考えた末に「勅任艦長」として「ポスト・キャプテン」とルビをふることに決めた。その上で、文脈によっては「正規艦長」と訳し、ルビで統一した箇所もある。~現代の海軍ならばCaptainは「海軍大佐」または「艦長」ですむが、ホーンブロワーの時代のPost-Captainは異なっている。当時はまだ佐官、尉官の大中小三階級の区別は無かった。 ~ナポレオンの密書、p.170より

 Lieutenant任命状(Commision)を受け取ることを、King's Commisionを受けると言いますので、Lieutenant以上は全て国王の任命(だからLieutenant以上AdmiralまでCommisioned Officerという)ということになります。また、一旦Commisioned Officerになれば木造帆装軍艦の時代の王国海軍ではLieutenantでも終身です。
 士官の階級と上で述べたように英国陸軍同様大佐、中佐の区別もありました。Master and Commanderは1747年に陸軍少佐と同格と定められています
 では、Post Captainになると何が違うのか。給料はMaster and Commanderよりもよくなりますけど、乗艦をもらって全給であっても、地位に見合った生活をするには不足でした。半給となればなおさらです。違うのは、一端Post Captainになると年功序列で昇進し、いつかは必ずRear Admiral of the Blueになり、長生きし運良く自分より先任がいなくなればAdmiral of the Fleetになれる可能性があったこと。Admiral of the Fleetともなればより高い年金も付きますからね。
 しかし、LieutenantもMaster and Commanderも年功序列でPost Captainになることは絶対にありませんでした。

 英国陸軍(騎兵、歩兵)でも事情は殆ど同じ、違うのは階級をお金で買えたこと。英国陸軍(騎兵、歩兵)では中佐(Lieutenant colonel)の階級もお金で変えました。ただし、中佐(Lieutenant colonel)になると売ることは出来ず、王国海軍同様、年功序列で大佐(Colonel)、准将(Brigadier general)と昇進していき、元帥(Field marshal)になれる可能性がありました。
 英国陸軍では、当初、一連隊は一大隊という構成でした。ですから、Colonelは連隊長という意味があります。王国海軍のCaptainは艦長という意味があるのと同じですね。そしてLieutenant colonelという階級が生まれます。ColonelのLieutenant、直訳すれば「連隊長代理」とでもなりましょうか。そのうちに一連隊は複数大隊で構成されるようになり、、Lieutenant colonelは大隊の指揮を執りましたので大隊長という意味になります。で、中佐(Lieutenant colonel)と常に呼ばれていたかというと違い、1ランク上の大佐(Colonel)と呼ばれるのが普通でした。シャープ・シリーズを読んでも大隊なのに連隊と書かれている表現に良く出会います。英国陸軍では大隊=連隊という感覚だったということでしょう。現代でも中佐(Lieutenant colonel)の階級章をつけているのに大佐(Colonel)と呼ばれているのを映画、NEWSなどでよく見ますね。
 となれば、王国海軍でも先任順位の差しかない昇進3年未満のPost Captainも、3年以上先任のPost Captainも単にPost Captainと呼ばれていたことになんの不思議も無いですね。

 こうしてみてくるとホーンブロワーの翻訳が始まった当時の事情は解るにしても、「Post Captain」に「勅任艦長」などという訳文をつけたのがいかにおかしいことか解ります。「Post Captain」に「勅任艦長」という訳をつけるなら、「Royal」「King's own」などを連隊名に冠する連隊の「Colonel」に「勅任連隊長」と訳文をつけることになります。しかし、そんなことをしている翻訳者は見たことがありません。
 英国陸軍のColonelを普通に陸軍大佐と訳すなら、Post Captainも海軍大佐でよいのです。文脈上昇進3年未満のPost Captainであることが解れば海軍中佐とすればよいのではないでしょうか。6等級艦以上で単にCaptainだけであれば艦長で済ましてもおかしくは無いでしょう。

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その他のCaptain

 さて、Captain of Royal Marines、Gun Captain、Captain of foretop、Captain of maintop、Captain of mizzntop、Heads captainのそれぞれのCaptainの意味はもうお分かりかと思います。Captain of Royal Marinesは「階級」ですが、以外は全て「一団の長」を意味しています。

参考:士官の階級比較


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*1 Lieutenantは中世フランス語でlieu-(代わり)+tenant(所有者)。「上官の代理者」が原義

最終更新: 2012-03-10 (土) 21:27:47 (JST) (4640d) by ゲスト
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