フレデリック･マリアット

Captain Frederick Marryat, CB　(1792 - 1848)

　Ｃ．Ｓ．フォレスターより１００年も前にネルソン時代の王国海軍を舞台にした海洋冒険小説を書いた作家であり、自身王国海軍士官でした。ホーンブロワーやオーブリーのモデルといわれている第１０代ダンドナルド伯爵コクラン卿の指揮するフリゲート艦に士官候補生として乗艦、この時の経験を元に「ミスター・ミジップマン・イージー」、「ピーター・シンプル」などが書かれています。
　そしてセント・ヘレナ島の警備艦の艦長を１８１９年からナポレオンの死亡時まで勤め、またポッハムの英国海軍用信号コードをベースに民間海上輸送用国際信号コードの基礎を作り上げた功績により、英国学士院会員になり、なおかつルイ＝フィリップからレジオン・ド・ヌールを授与されているのです。海軍士官としても、作家としても優れた人物であった。

　岩波文庫より復刻版「ピーター・シンプル」が出ているので、もし読む機会があるのでしたら海洋冒険小説ファンには絶対お奨めの一冊。なんといっても、ボライソーの時代に実際に王国海軍で活躍した作者の手によるものなのです。戦前の岩波文庫復刻版なので旧仮名旧漢字で読みにくいですが、読み出せばそんなもの関係ありません。その面白さに引き込まれることが請け合いの作品です。