Nelson's Prayer(ネルソンの祈り)
1805年10月21日早朝、ネルソンは私的な手帳に最後の祈りの言葉を書きつけた。
ネルソンはこの祈りの言葉に、艦隊決戦に挑むネルソンの海軍軍人として感情が凝縮されている。現在でも軍人が残した祈りの最高傑作のひとつとして賞賛されており、昨年英国を訪問した際にネルソンゆかりの場所でいろいろな形で目にした。
毎年トラファルガー海戦記念日にはHMSヴィクトリーの後甲板で、トラファルガー広場で、数々の教会でとなえられている。もし英国を訪れたおり、この祈りをとなえる機会に巡り合う時のためにおぼえておきたい。
"At daylight saw the Enemy's Combind Fleet from East to E.S.E.; bore away; made the signal for Order of Sailing, and tp Prepare for Battle; the Enamy with theire heads to the Southward: at seven the Enamy wearing in succession.
May The Great God whom I worship grant to my country and for the benefit of Europe in general, a great and glorious victory; and may no misconduct in anyone tarnish it; and may humanity after victory be the predominant feature of the British Fleet. For myself individually I commit my life to Him who made me, and may this blessing light upon my endeavours for serving my country faithfully. To Him I resign myself and the just cause which is entrusted to me to defend. Amen. Amen. Amen."
「払暁、東から東南東の方向に風を背に航行中の敵連合艦隊を発見、ただちに航行開始、戦闘準備を旗旒信号にて下令する。時に敵は艦首を南方に向けて進行中。七時、敵の各艦が順次下手まわしに転じる。
崇め奉りますわが偉大なる神よ、わが国のため、ひいてはヨーロッパ全土のために、輝かしき大勝利をお恵みください。勝利に瑕疵をつけるような不始末をしでかす者が一人も出ませんよう。また勝利のあとは、さすが英国の艦隊と世に言わしめるほど、将兵全体が慈愛に満ちた人間らしいふるまいを見せてくれますよう。わたし個人につきましては、世にお出しくださった神さまに、この一身の生死をお任せします。祖国に忠勲を致さんとひたすら努めたわが奮闘に神さまの祝福が垂れ給わんことを。わが命、ならびに死守すべしとわたしの手にゆだねられた正義の道をいかがされるか、すべて神さまにおまかせいたします。アーメン、アーメン、アーメン。」 ~ コリン・ホワイト・著、山本史郎・訳「ネルソン大事典」原書房 p.446より