グリニッジ・タイム
副 題 | 世界の時間の始点をめぐる物語 | |
シリーズ名 | ||
著 者 | デレク・ハウス | |
訳 者 | 橋爪 若子 | |
出版社 | 東洋書林 | |
出版年 | 2007 | |
初 版 | 2007 | |
ISBN/ASIN | 4887217307 | |
その他 | 今やGPSによって地球上の何時でも何処でも自分の位置とそこの時間がわかる時代、しかし、それはごく最近の話。天文学者、航海者は、長年自分のいる場所の時間と場所を探求してきた、中でも。本書は、経度の探求と何故グリニッジ天文台が世界標準時(本初子午線)となったのかの物語。
航海者にとって陸地の見えない外洋を航海するのに、自分の船がいる位置を把握していることは重要だった。なぜなら、自分の位置がわからなければ自分が今正しく目的地に向かったいるのかどうか、目的地まであとどれくらいの距離のところにいるのか、既知の暗礁にどしあげるかもしれないのだ。地図上にグリッドを置き、緯度、経度で位置を示す概念は古代ギリシャまでさかのぼる。 北半球で緯度を測るのは比較的簡単だった。しかし、経度は違った。ある港からどのくらい離れた経度にいるのか測ることは難しかった。そこで、天体の観測(月の角距離測定)と精密な時計によって測ることが考えられたが、天体の観測は時間を要したし、海上でも正確に時を刻む精密な時計は技術的に難しかった。 そこで、チャールズ2世の時代にグリニッジに天文台が作られ、天体の観測が始まり、ジョン・ハリソンが約30年かけてクロノメータを完成させた。そして、グリニッジを基点とした経度(英国標準時)と英国の航海暦の発行が世界的に使われるようになり、グリニッジを本初子午線とした経度とグリニッジ標準時が世界の標準と定められた。 グリニッジの歴史と天体観測、ハリソンの物語も面白いが、一日の始まりが正午で始まる航海日を王国海軍は1805年まで使用していたこと、1884年の国際子午線会議で、フランスが英国のメートル法採用と引き換えにグリニッジを本初子午線とすることを条件していたことなど本初子午線とグリニッジ標準時にまつわる話は興味が尽きない。 本書は、是非ジョン・ハリソンのクロノメータ完成を描いた「経度への挑戦」と併せて読んで欲しい。 |
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投稿者: 只野四十郎 投稿日:2008年2月16日() 閲覧回数:2561