Captain's Log
2006/07/15 土曜日
カテゴリー: その他 | (閲覧 :2498) |

 今は、東京から離れた所に住んでいるので、東急百貨展渋谷本店で開催されている勢古宗昭氏の海洋画展には行けないが、名古屋三越で開催されている、梶田達二氏洋画展に行ってきました。


 確かに帆船の画が主体で、船はあと大和、満鉄の機関車、風景画が1点ずつあるのみでしたが、帆船の画が全て日本丸、海洋丸のみ、それもほぼ同じ構図。
 日本丸、海洋丸を描いた海洋画としては良い作品でした。全体の構図、マスト、リギン類の描写、海の色、空の色、波しぶき、帆の光と影の描写などさすが個展を開くだけの事はあるのですが、物足りない。なぜか、どれもほぼ同じ構図、しかも写真でみた事があるような構図。
 日本丸、海洋丸の海洋画を見れたことは嬉しいのですが、チョット失望でした。


 現在東京の東急百貨店渋谷本店で開催されている、勢古宗昭氏の海洋画展で展示されている作品の様子が、知り合いを通じて伝わってきましたが、今年東京にいないのが悔やまれます。
 日本では海洋画と言うと第2次世界対戦の軍艦、帆船と言うと日本丸、海洋丸、せいぜいティークリッパー位のイメージしか無い様なのですが、ジェフ・ハント氏に代表される英米の海洋画はありとあらゆる種類の船が描かれます。それも既にこの世界に存在しない古の船まで。
 現存する船や、写真がある船の海洋画はイメージしやすいので格好の海洋画の題材でしょう。しかし海洋画家の力量が問われるのは既にこの世界に存在しない、しかも限られた資料しかない船を描くことではないかと思うのです。


 色々な種類の資料を集め、時には模型も作るかし、大洋を航海する事もして、異なる大洋の海や空の色の違いや、太陽、月、星のを観察し、はては荒天の海がどんな状態にあるのか、を記憶に収め、資料から存在しない船の船体のライン、ディティール、マスト、リギンなどを正確に描き、その船が今どんな状態で、どのように航海しているのか、画の中に物語まで盛り込んでしまう。


 ジェフ・ハント氏はこれが出来る、まさに英米でトップの現役海洋画家(彼はRoyal Society Marine Artists(RSMA)の会長です)ではないかと 思います。
 そして日本では勢古宗昭氏が第一人者ではないかと個人的に思っています。
 東京にいた間何度も勢古宗昭氏の画を見に行きました。現在ボライソー・シリーズの表紙を飾る画の画家の方の作品と見比べたこともあります、日本では画伯と呼ばれる方の作品とも見比べた事もあります。お話も何度かした事があります。そして勢古宗昭氏の作品はなんといっても画題の幅が広いのです。日本丸、海洋丸、第2次世界対戦の軍艦、御自身が乗っていらした現代の船、木造帆走軍艦、クリッパーなどなど。そして、画の中に物語があるのです。
 東京近辺にお住まいで海洋画に興味のある方今月19日まで開催されています。是非一度見に行ってください。
 そういえば勢古宗昭氏がRSMAの展示会に画を出展すると言っていた話はどうなったのかなぁ。


勢古宗昭氏海洋画展
会期:2006/07/13(木)~2006/07/19(水)
場所:東急百貨店 渋谷本店 8階美術画廊
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
電話:03ー3477-3111(代表)
時間:11:00~19:00(最終日は17:00まで)
東急百貨店渋谷本店


ジェフ・ハント氏の海洋画、そして描く過程の詳細はこちらの本が一押し。とにかく素晴らしい海洋画家です。

コメント 2 件

なんと。今月末に名古屋に出張なのに残念です。

仰るとうり帆船は日本人にはかかわりのなかった乗り物ですね。
海洋冒険小説のファンとしては日本が海洋国家なんて、とても思えません。

只野四十郎 より:

梶田達二氏洋画展は本日まででしたので、残念ですね

私見ですが、日本は海洋国家ではなく、海運国家だと思っています。
しかし、そのシー・レーンの安全を守っている実態がなにかというのを日本人は全然理解していません。だからその海運国家も怪しいかな。

レジャーとして海に親しむ人口は昔に比べ増えたでしょう。ただそれが欧米のそれと比較には全然なりませんけどね。

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