Captain's Log
2010/01/01 金曜日

皆様、あけましておめでとうございます。

本年も相変わらずのサイトになりそうですが、よろしくお願いいたします。

昨年同様テメレア戦記からのスタートです。

*以下3巻「黒雲の彼方へ」を未読の方にはネタバレあり、ご注意を 

2巻でめでたくテメレアの守り人となったローレンス。マカオで凪につかまり風待ちのところに本国のレントン空将から、トルコのからドラゴンの卵3個を受け取り速やかに帰国するよう命令書が届きます。ところがあいにくアリージャンスのドラゴン甲板が火事で焼け落ちているしまつ。かくしてローレンス、テメレア、クルー一行は命令書を届けに来たサルカイを道案内役にやとい陸路イスタンブールをめざします。そうシルクロードをいくのです。ここで登場するサルカイが二癖あってよいキャラ、父親は英国人、母親は現地の人、話しぶりは英国上流階級特有の話し方なのに、顔つきで差別されてきたのでしょう、かなーりひねくれています。でも要所要所で重要な活躍をします。
シルクロードでは盗賊の襲撃に大砂嵐に巻き込まれ、カラコルム山脈では雪崩にも巻き込まれる苦難の道。リエンとド・ギーニュが一緒に西に向かっているという悪い予感の知らせ。雪崩のあと野生ドラゴンの洞窟内の硫黄泉にクルーと一緒に浸かってた全裸のエミリー・ローランドをあわててたしなめるものの、ぎゃくにエミリーにやりこめられるローレンスがなんともいえません。ここからテメレアのおかげで野生ドラゴンをひきつれてイスタンブールに向かうハメになり、イスタンブール直前では牧牛を奪い去りローレンス一行の心象がトルコに悪くなるのですが、ここで登場する野生ドラゴンが物語の最後で活躍するのです。
さてトルコに到着したのはよいが肝心のドラゴンの卵は渡せないとトルコに言われ、英国大使は原因不明の死亡後、卵の大金50万ポンドの金貨が行方不明。そしてローレンス一行はトプカプ宮殿に軟禁状態。このトプカプ宮殿になんとリエンがいます。そうドラゴンの卵の取引を邪魔をしたのはリエンの入れ知恵、しかもリエンは愛する守り人ヨンシン皇子を失った復習の宣告をローレンス、テメレアにつげフランスに旅立ちます。ここでサルカイが活躍したりしてドラゴンの卵はハレムの風呂場にあることが判明。ハレムに忍び込もうとして鞭打をうけたダンを道案内役にハレムに忍び込み卵をめでたく盗みだすのですが、ここで悲運が。ナオミ・ノヴィクさん、アレクサンダー・ケントかと思わせるくらい次々とクルーを失わせるのですが、ここでは2巻のホワンホワン団の襲撃で大活躍したディグビーが、しかもドラゴンの卵を盗みに行く直前に空尉候補生に昇進していたのに、ドラゴンの卵とともにテメレアから落下し絶命。ああ、ディグビー哀れです。
無事オーストリアにたどり着きプロイセン経由で英国を目指すローレンス一行ですが、プロシアに到着してみると、ナポレオンと戦争の準備中、しかも2ヶ月前には英国のドラゴン戦隊20頭が到着していたはずという。ここで、到着しない英国のドラゴン戦隊20頭の代わりにイエナ・アウエルシュタットの戦いに巻き込まれることになります。まあ、史実どおりにプロイセン軍の大敗北なのですが、ナオミ・ノヴィクさんの筆がさえていて、映像にしたらすごいだろうなあという
戦いです。PJ早く映画化してくれないかなぁ。
さて肝心のドラゴンの卵ですが、火吹き龍カジリク種の卵が孵化まじか、戦場の真ん中で孵化させるわけにはいかないのでテメレアが待ってくれって卵の中のドラゴンにたのむのです笑っちゃいました。でも孵化しちゃうんですねぇ、しかも敗走の真っ最中に。かくして副キャプテンのグランビーがハーネスをつけ担い手に、しかし名前をつけようとすると自分で「イスキエルカ」と名乗るオテンバなメスドラゴン。敗走の最中牧牛を盗もうとしているローレンス一行から飛び出し牧牛の背にしがみつき火を吹きまくるシーンはユーモアです。3巻の表紙がカジリク種イスキエルカです。
結末は書かないでおきますが、1巻、2巻以上の冒険物語、面白さ抜群です。3巻も2巻に続き翻訳チェックのお手伝いをさせていただいたので、刊行前に読んでいたのですが、活字になって本で読むと一層楽しめました。そうそうナポレオンも登場するのですよ、しかも白馬のマレンゴではなく白いドラゴンにのって、そうリエンです
4巻ではローレンスとテメレアはアフリカに旅立ちます。ローレンスにトルコからドラゴンの卵を受け取るよう命令が下された理由も、ドラゴン戦隊20頭がプロイセン軍に加わらなかった理由も明らかになります。これ伏線は2巻にすでに書かれています。4巻の日本語版が今から待ち遠しいですが、サイクルからすると1年後ですね。原書は持っているのですが、ちょっと難しい英語でして・・・これがダドリー・ポープだと結構読める英語なんですけどねぇ。

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